母の勧めで始めた介護の仕事、初めはあれこれ考えるばかりで体がついていけなかった

宮川夏子
この仕事を始めたのは、母がずっとヘルパーとして働いていて、介護の勉強がこれから役に立つと勧められ、介護職員初任者研修を受けたことがきっかけです。亡き父は脳血栓症で倒れ、そんな父を看取る中、私は高齢で在宅生活している方がどんな生活を送っているのかに興味を持ちました。倒れることがなければ、今頃、父も受けていたかも知れないサービスです。私は、1人で仕事をするよりもチームで働いてみたかったので、デイサービスの仕事を始めました。そうして始めた仕事でしたが、一般デイのフロアに配属になり、ご利用者様の人数には驚きました。お名前とお顔を一致させるだけでもひと苦労でした。まずご利用者様のお名前とお顔を覚えよう、3月だったので卒業式や桜の話題でお話ししてみよう…あれこれと考えるばかりでなかなか体が動いていなかったことを思い出します。職場の先輩方はそんな私に一つひとつ丁寧に仕事を教えてくれました。ご利用者様からも「もう慣れた?」「頑張ってるね」と声をかけて頂き、逆に元気をもらい、それを励みにさせていただき、仕事に取り組みました。男性のご利用者様と接する時は、“この方はなんとなく父に似ているな”、とか“父ならどんな風に過ごしていただろう”とついつい考えてしまうのですが、“自分がご利用者様の家族ならどうしてあげたいと思うか”を考えながら寄り添いたいと思うようになっていました。

「ありがとう」が行き交う職場で、「当たり前の日常生活」を支えることに面白さと喜びを感じて

この仕事を始めてすぐに感じたのは、「ありがとう」がたくさん行き交う職場だということです。私たちからご利用者様に、ご利用者様から私たちへ、私たち職員同士…。「ありがとう」という言葉がみんなの笑顔を創り出し、とてもいい雰囲気で仕事ができていると感じています。また、これまでしてきた「主婦」や「母親」の経験を仕事に活かすことができるので、この仕事により一層のやりがいを感じています。40代後半に、未経験で介護の世界に入り、ご利用者様と接する基本は「当たり前の日常生活」を支えることだと日々学んでいます。ひげや爪が伸びているな、顔色があまりよくないな、などの身体的な変化の気づき、季節の行事や食べ物の話、よく歌っていらした童謡や唱歌・・・。ご利用者様の日常に自分の日常を重ね合わせることができた時、この仕事の面白みを感じるだけでなく、喜びを感じる機会も増えます。デイサービスで過ごしていただく時間は、現在だけでなく、過去と未来につながっている時間だと思います。ご利用者様との会話の中で、その方の懐かしい昔話が話題となり、「久しぶりにその頃を思い出すことができて、楽しかった」と言われたことが、とても印象に残っています。逆に2020年の東京オリンピックの話題など、これからの生きがいにつながるお話もしていくようにしています。個々のご利用者様をフェースシートなどで理解し、必要な支援を安全に行い、常に周りの状況を把握しておくことを大切にする。その上で、ご利用者様に楽しく過ごしていただけるよう、声のトーンは明るめ、そして笑顔で接することを心掛けています。

介護福祉士を目指し、ご利用者さんから頼られ、ホッとしてもらえるような介護者になりたい

職場にはベテランの方がたくさんいらっしゃるので、わからないことがあれば直接相談をしたり、先輩の受け答えや動きを見て、積極的に取り入れるようにしています。仕事の中にレクリエーション担当があり、毎週何をしようかを考えるのは楽しくもあり、なかなか大変な仕事です。20人前後のご利用者様が楽しんでもらえる時間になるように、先輩方のやり方を真似したり、インターネットで調べたりして工夫を凝らしています。“今日は盛り上がったな”と感じる時は、ご利用者様の力や声を引き出せた時だと感じています。ゲームでお互いに応援したり、クイズの答えを皆さんで意見を出してくれたり、本当にご利用者様に助けられています。せっかくこの仕事を始めたので、国家資格の介護福祉士の資格を取りたいと思います。そして、介護技術がまだまだ未熟なので、安心・安全に介助できるよう技術を身に付けていきたいです。不安なお気持ちのご利用者様からも頼られ、ホッとしてもらえるような介護者になれるよう、介護技術はもちろん、人間として成長していきたいです。そして人生の先輩と出会えるこの仕事を心から楽しんで、長く働き続けることが目標です。